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カテゴリ:憎めない面々( 1 )
幻の美容師

昔、日系の美容院に勤めていた、ある美容師の名前を何となく覚えていた。たぶん、フリーマガジンで紹介されたからだと思う。私は一度も、その人が勤めるお店には行かなかったので、その人とは面識がない。そのうち、その人は店をやめてしまったと、人づてに聞いた。「今でも、大連のどこかのお店で働いているらしい。」と言われ、「そうですか。でも、私、その人のこと、まったく知らないんですよ。」と答えた。会ったこともない人の近況を言われても、困ってしまう。そんななか、私が住むマンションのわりと近くに新しい美容院がオープンした。

「ああ、ここなら知ってる。近いし、行ってみるか。」とチラシを片手に、そのお店へと向かった。お店の中に入ると、いかつい男性が出てきた。私が一番苦手とするタイプだ。最初、中国人のお客さんかと思ったら、なんと美容師さんで日本人だった。しばらく、こんないかつい男性とは接したことがなかったので、ちょっと固まってしまった。しかし、話してみると、外見とは裏腹に何とも気さくな方で、カットをしてもらっている間、ずっとおしゃべりをしていた。他愛もない会話のなかで、彼が、実は例の美容師だったことが判明した。

彼は髪のカウンセリングをしてくれて、色々とアドバイスをくれた。髪の色はいいが、ここの毛が短いので伸ばしたらいいとか、ここらへんの毛がすき過ぎだとか、プロならではの意見が聞けた。私が、くるりんふんわりした巻き毛にしたいというと、「こうしたらいい」とアドバイス。前髪もこうして、ここの部分だけワックス、ここはヘアスプレーしたら強風でも崩れない等の話をしながらのカットとブロー。合間、世間話。出来上がったスタイルは、上品な若奥さまといった感じ。

この人はもしや、言わずと知れたカリスマ美容師か?と思い、家に帰ってネットで彼の名を検索してみたが、何の収穫もなし。しかし、ただ者ではないという直感がした。帰り際、「大連は何もないし、面白くないでしょう? 楽しみといえば、おしゃれぐらいだから、おしゃれを楽しんだらいいですよ。」と言われたが、私も同じ考えだ。私の場合、楽しみはおしゃれではなく、美容なのだが。このような、ただならぬ雰囲気を持つ美容師が大連にいてくれて、私は嬉しい。
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by o-chuck | 2007-11-14 21:35 | 憎めない面々